空き家対策の家族信託について!メリットや注意点も解説

将来、実家などの空き家を相続した際、その管理や処分をどのように進めるべきかお困りではありませんか。
もし元の所有者が認知症を発症してしまうと、不動産の売却や修繕といった手続きが一切できなくなり、放置された空き家がご家族の大きな負担となってしまう恐れがあります。
本記事では、そのような将来の空き家トラブルを未然に防ぎ、希望通りに財産を管理・承継するための有効な手段である「家族信託」の仕組みや具体的なメリットについて解説します。
今後ご実家をはじめとする空き家を相続する予定があり、円滑な財産の引き継ぎにご不安を感じている方は、ぜひご参考になさってくださいね。
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深刻化する空き家問題と増加の主な原因

家族信託を用いた対策を考える前に、空き家が増加する背景には主にどのような問題があるかを押さえておく必要があります。
まずは、空き家が社会問題化している現状や、増加の理由について解説します。
社会問題化する空き家
総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、全国の空き家は900万2,000戸となり、2018年から51万3,000戸増えています。
空き家率も13.8%まで上がり、1993年からの30年間で約2倍となったため、身近な課題として考える必要があるでしょう。
とくに、長く使われず活用予定のない空き家は385万6,000戸に達しており、管理不足への対策が重要です。
そもそも、住まいは、人が定期的に使うことで良好な状態を保ちやすくなるものです。
しかし、通気や点検の機会が減ると劣化の発見が遅れ、周辺の住環境にも影響を及ぼしかねません。
高齢化と相続の遅れ
高齢の親が1人で暮らしていた実家を相続しても、子どもが住まないケースは少なくありません。
空き家を取得した理由の約55%は相続とされ、所有者が遠方に住む場合は、日常的な手入れを続けにくくなります。
また、相続人同士の話し合いが長引いたり、親の施設入所をきっかけに管理開始が遅れたりすることもあるのです。
空き家所有者の約3割は、物件から1時間以上離れた場所に住んでいるとされ、移動の負担もあります。
草木の手入れや雨漏り確認も後回しになれば、老朽化が進みやすくなるでしょう。
そのため、相続前から家の状態や維持費を共有し、管理者を決めておく準備が大切です。
認知症による放置リスク
不動産の売却や賃貸活用、解体などは法律行為にあたるため、所有者本人に判断力があることが前提になります。
もし、所有者が認知症になると、契約内容を理解して意思を示すことが難しくなり、家族だけの判断では手続きを進められません。
たとえ、配偶者や子どもでも本人名義の家を自由に売却したり、解体契約を結んだりすることはできないのです。
成年後見制度は本人の財産保護を目的としているため、居住用不動産の処分には家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。
手続きに時間がかかる間に、空き家の傷みが進む可能性もあるでしょう。
だからこそ、親が元気なうちに管理や処分の方針を話し合っておくことが重要です。
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空き家管理に役立つ家族信託制度の仕組み

前章では、空き家が増加する背景について述べましたが、放置を防ぐための対策法を知りたいですよね。
ここでは、空き家対策として有効な、家族信託制度の仕組みや手続きについて解説します。
家族信託の基本と役割
家族信託とは、財産を持つ方が信頼できる家族へ財産を託し、決めておいた目的に沿って管理してもらう制度です。
委託者は、実家を所有する親などが該当し、将来の管理方針を決めて財産を託す立場になります。
一方で、受託者は子どもなどが担い、契約内容に基づいて修繕や賃貸、売却などの実務を進める役割です。
受益者は財産から利益を受ける方で、親を委託者兼受益者にする自益信託なら、経済的な利益は親に残せます。
また、受託者には善管注意義務があり、丁寧な管理をおこなう責任があります。
つまり、管理を任せながらも、親の生活を支える利益は守りやすい仕組みです。
契約と信託登記の流れ
家族信託を始める際は、まず信託の目的や受託者を確認し、家族会議で兄弟姉妹の理解を深めることが大切です。
次に、信託する財産の内容や売却・賃貸の権限、信託の終了条件などを定め、信託契約書を作成します。
このとき、公正証書にしておくと、金融機関での手続きや家族間の確認が進めやすくなるでしょう。
さらに、不動産を信託する場合は法務局で信託登記をおこない、登記簿に信託財産であることを記載します。
登記後は、信託目録に目的や管理方法が記録され、第三者にも内容を示しやすくなります。
そして、固定資産税や管理費に使う資金は信託口口座で分け、受託者個人の財産と混同しない運用が必要です。
契約時の注意点と実務
家族信託を安定して運用するには、契約時に信託の目的や期間、受益権の帰属先を整理しておく必要があります。
目的が曖昧なままだと、将来売却する際に信託内容と合っているかを確認する時間がかかるでしょう。
また、信託期間は親が亡くなった時や目的を達成した時など、終わりの条件を具体的に決めておくと安心です。
そして、賃料や売却代金を受け取る受益権を誰に引き継ぐかも、事前に契約書へ記載しておきます。
予備的受益者を定めておけば、当初の受益者が先に亡くなった場合にも備えやすくなります。
なお、税務上の扱いは契約内容で変わるため、専門家に相談しながら家族に合う設計を整えましょう。
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空き家対策に家族信託を利用するメリット

ここまで、家族信託の基本的な仕組みや、手続きを解説しましたが、具体的なメリットについてもおさえておきましょう。
最後に、空き家対策において、家族信託を活用するメリットについて解説します。
贈与税の負担軽減効果
将来空き家になる実家を子どもへ生前贈与する場合、評価額によっては贈与税や不動産取得税の負担が大きくなることがあります。
暦年贈与の年間110万円の非課税枠を使う方法もありますが、不動産全体を移す場合は税額の確認が欠かせません。
一方で、家族信託で委託者と受益者を同じ親にする自益信託を選べば、名義変更時に贈与税はかかりません。
管理権限だけを子どもへ移し、経済的な利益は親に残せるため、税負担を抑えながら対策を始められます。
また、親の生活資金を守りつつ、管理の実務だけを任せやすい点も安心です。
柔軟で迅速な処分判断
家族信託の契約で売却や賃貸活用の権限を定めておけば、受託者は状況に応じて手続きを進めやすくなります。
たとえば、親が施設へ入所して実家が空き家になった場合でも、契約の範囲内で子どもが対応できます。
成年後見制度は、本人の財産保護を基本とする一方で、家族信託は事前に決めた目的に沿って動きやすい点が特徴です。
また、売却代金を親の介護費や生活費に充てれば、財産を暮らしの安心につなげられるでしょう。
立地や建物の状態に応じて、賃貸活用や土地活用を検討しやすくなる点もメリットです。
さらに、受託者を1人決めておくと窓口が一本化され、不動産会社との相談も進めやすくなります。
円滑な承継と争族防止
家族信託には、財産から利益を受ける受益者を将来の順番に沿って指定できる特徴があります。
受益者連続型信託を使えば、親の次は配偶者、その次は子どもというように、承継先を段階的に決められます。
そのため、ご家庭の事情に合わせて、誰が管理し、誰が利益を受けるのかを明確にしやすくなるでしょう。
一般的な遺言書では次の相続までの指定が中心ですが、家族信託ならその先の世代まで希望を反映しやすくなります。
とくに、一戸建ては細かくわけにくいため、承継先や管理責任者を決めておくことが争いの予防につながります。
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まとめ
親の高齢化や相続手続きの遅れ、認知症による判断力低下を背景に、管理不足の空き家放置リスクが社会問題となっています。
空き家対策に有効な家族信託は、親が元気なうちに信頼できる家族へ実家の管理を託し、契約と登記で運用方法を定める制度です。
家族信託を活用すれば贈与税を抑えつつ実家を柔軟に処分でき、先の世代まで承継先を指定して親族間の争いも防げるでしょう。
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