
【10分で分かる】高齢者の不動産は大丈夫?成年後見制度で安心の資産管理を考える
高齢の親が不動産や預貯金をどのように管理していくべきか。
判断力が低下したら契約や売却はどうなるのか。
このような不安を抱えている高齢者や家族は少なくありません。
そこで重要になるのが、資産管理を法律面から支える成年後見制度です。
この制度を理解しておくと、認知機能が低下した場合でも、不動産を含む大切な財産を守りながら日常生活や介護費用に備える道筋を描きやすくなります。
本記事では、高齢者の資産管理と成年後見制度の基本から、不動産所有者が知っておきたい仕組みや手続きの流れまでを、できるだけわかりやすく解説します。
ご自身やご家族の将来に備えるための第一歩として、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

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高齢者の資産管理と成年後見制度の基本
日本では高齢化が急速に進み、令和8年版高齢社会白書によると、総人口に占める65歳以上の割合は約3割に達しています。
その一方で、一人暮らしをする高齢者も増加しており、消費者庁の資料では2020年時点で65歳以上の一人暮らしは男女ともに上昇傾向とされています。
こうした状況では、預貯金や不動産などの資産を自分一人で安全に管理し続けることが難しくなる場合があります。
その結果、生活費の管理や契約手続をめぐるトラブル、悪質な勧誘による被害といった資産管理上のリスクが高まりやすくなっています。
このような資産管理の不安に対応するための仕組みの一つが、成年後見制度です。
成年後見制度は、認知症などにより判断能力が不十分になった人について、家庭裁判所が選任する後見人等が法律面や生活面を支援し、権利や財産を守ることを目的としています。
さらに、成年後見制度利用促進法などでは、本人の尊厳が重んじられ、意思決定を支援しながら自発的な意思が尊重されることが基本的な考え方とされています。
つまり、ただ財産を守るだけではなく、可能な限り本人の思いや希望を生かしながら支援していく制度として位置づけられています。
特に、不動産を含む資産管理の面で成年後見制度は重要な役割を果たします。
民法では、成年後見人は成年被後見人の生活や療養看護とともに、財産の管理に関する事務を行うこととされており、その中には不動産の売却や登記手続などの行為も含まれます。
また、法務省の資料でも、成年後見人等が行う財産管理事務の具体例として、不動産や有価証券の処分などが挙げられており、高齢者の資産全体を支える仕組みとして活用されています。
このように、成年後見制度は、高齢期の暮らしを支える基盤として、不動産を含めた資産管理を法的に支援する制度と言えます。
| 項目 | 現状 | 成年後見制度の役割 |
|---|---|---|
| 高齢化の進行 | 65歳以上人口の増加 | 将来を見据えた備え |
| 一人暮らし高齢者 | 世帯数と割合の上昇 | 身近な支援者の確保 |
| 資産管理リスク | 財産トラブルや被害 | 法的枠組みによる保護 |
| 不動産を含む財産 | 価値が大きく手続が複雑 | 後見人等による適切管理 |
不動産所有者が押さえたい成年後見制度の種類
成年後見制度は、家庭裁判所が成年後見人等を選ぶ法定後見と、自分で将来の支援者を決めておく任意後見の2つに大きく分かれます。
法定後見は、判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」に区分され、本人の事情に合わせて制度を選べる仕組みです。
任意後見は、判断能力が十分なうちに、公正証書で任意後見契約を結んでおき、将来判断能力が不十分になったときに効力が生じる制度です。
不動産を所有する高齢者にとって、自分の判断能力の状態と家族の支援状況を踏まえて、どの類型や制度が適しているかを知っておくことが大切です。
法定後見では、成年後見人等が、預貯金や不動産などの財産管理や、介護サービス利用契約などの身上監護を行います。
「後見」は判断能力がほとんどない場合に用いられ、成年後見人が広い代理権を持ち、不動産の管理・処分など重要な行為も原則として代わりに行います。
「保佐」は重要な契約について合理的な判断が難しい場合に用いられ、保佐人が代理したり、一定の法律行為について同意権・取消権を持つことがあります。
「補助」は判断能力の低下が比較的軽い場合に利用され、家庭裁判所が定めた特定の法律行為について、補助人に代理権や同意権を与えることができる仕組みです。
任意後見制度では、本人が信頼できる人を任意後見人として指定し、財産管理や生活・療養看護に関する事務の範囲を契約で細かく決めることができます。
不動産についても、管理や賃貸借契約の締結など、任せたい内容をあらかじめ取り決めることが可能ですが、本人が行った契約を取り消す権限は原則として含まれません。
そのため、悪質商法への対策など、契約の取消しによる保護が特に重要な場合には、法定後見の「後見」や「保佐」を利用する方が適している場合があります。
一方で、自分の希望に沿った柔軟な財産管理や生活設計を重視したい不動産所有者には、早い段階で任意後見契約を結んでおく選択肢も有効です。
| 制度の種類 | 主な対象となる状態 | 不動産管理の特徴 |
|---|---|---|
| 後見 | 判断能力がほとんどない状態 | 成年後見人による包括的な管理 |
| 保佐 | 重要な契約判断が困難な状態 | 重要な不動産行為への同意・代理 |
| 補助 | 判断能力の低下が比較的軽い状態 | 指定された行為の限定的支援 |
| 任意後見 | 判断能力が十分な時に将来へ備える場合 | 契約で定めた範囲の柔軟な管理 |
高齢者の不動産と成年後見人による資産管理のポイント
成年後見人等に選任されると、不動産だけでなく、預貯金や年金など、本人の生活を支えるさまざまな財産を一体的に管理します。
具体的には、財産目録の作成、預貯金口座の管理、公共料金や税金の支払い、年金や不動産収入の受け取りなどが含まれます。
また、将来の生活費や介護費用を見据え、無駄な支出を抑えながら、安定した暮らしを維持できるように支出計画を立てることも重要な役割です。
このように、成年後見人等は日常的な金銭管理から不動産の維持管理まで、広範囲にわたる事務を担います。
一方で、不動産の中でも特に居住用不動産については、成年後見人等の判断だけで自由に売却や賃貸を行えるわけではありません。
本人が住んでいる、または住んでいた自宅などを売却・賃貸・賃貸借契約の解除・抵当権の設定などで処分する場合には、事前に家庭裁判所の許可が必要とされています。
これは、住み慣れた住居を失うことが、高齢者の心身の状態や生活に大きな影響を与えるため、特に慎重な検討を求めているからです。
許可を得ないまま行った居住用不動産の処分は無効となるため、手続きの順序を誤らないことが大切です。
さらに、高齢期には介護費用や医療費が増えやすく、不動産をどのように活用するかが暮らしの安定に直結します。
賃貸による家賃収入を生活費に充てる、売却代金を預貯金や後見制度支援信託などで分かりやすく管理するなど、成年後見人等は安全性と流動性のバランスを考えながら資産管理を行うことが求められます。
ただし、元本割れの恐れが高い投資商品への新たな投資は避けるべきとされており、基本的には生活費や介護費用を安定的に確保する方向で運用が行われます。
このような制約を理解したうえで、不動産を含む資産全体をどのように守り、生かしていくかを家族と早めに話し合うことが重要です。
| 管理対象 | 成年後見人等の主な役割 | 注意すべきポイント |
|---|---|---|
| 預貯金・年金等 | 口座管理と収支記録 | 本人名義口座で一元管理 |
| 居住用不動産 | 維持管理と処分の検討 | 処分前に家庭裁判所の許可 |
| 収益不動産等 | 賃料受領と修繕対応 | 安全性を重視した活用 |
不動産所有者が成年後見制度を利用するための手順
成年後見制度を利用するには、まず地域包括支援センターや弁護士会、社会福祉士会などの相談窓口で、本人の状況に合う制度かどうかを確認することが重要です。
そのうえで、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、申立書と戸籍謄本、診断書などを整えて提出します。
必要書類の具体的な書式や記載方法は、裁判所の案内資料や後見ポータルサイトで公開されており、事前に確認しておくと手続が円滑に進みます。
費用面で不安がある場合には、法テラスによる民事法律扶助を利用できる可能性もあります。
家庭裁判所で審理が行われ、後見人等が選任されると、通帳や不動産の権利証などの資産状況を整理し、収入と支出を記録しながら管理が始まります。
後見人等は、定期的に家庭裁判所へ財産目録や収支報告書を提出することが求められており、本人の生活や介護に必要な支出と資産保全のバランスをとりながら判断します。
家族が後見人等に就任した場合でも、本人の財産と家族の財産を厳密に分け、領収書や契約書を残すなど透明性の高い管理を心掛けることが大切です。
また、本人の意思をできる限り尊重しつつ、安易な贈与や過度な支出を避けることがポイントになります。
近年は、第二期成年後見制度利用促進基本計画に基づき、制度の見直しや利用支援の施策が段階的に進められており、その動向を把握することが重要になっています。
厚生労働省は、制度の利用促進や意思決定支援の充実に関する報告書やニュースレターを公表しており、今後も法改正や運用の変更が見込まれます。
そのため、不動産を含む資産をどのように守り、活用していくかを考える際には、早い段階から最新情報を確認し、専門機関へ相談しておくことが安心につながります。
特に、将来の介護や住み替え、不動産処分の可能性がある場合には、任意後見契約の活用も含めて総合的に検討しておくとよいです。
| 手順 | 主な内容 | 不動産所有者の留意点 |
|---|---|---|
| 事前相談 | 窓口で制度適合性確認 | 不動産状況と希望整理 |
| 家庭裁判所申立て | 申立書と添付書類提出 | 資産内容を正確に記載 |
| 後見開始後 | 財産管理と裁判所報告 | 売却等は事前に要相談 |
まとめ
高齢になると、不動産を含む資産管理の負担やリスクが一気に高まります。
成年後見制度は、高齢者本人の権利を守りながら、不動産や預貯金、年金などを適切に管理するための大切な仕組みです。
どの制度を選ぶかによって、不動産の売却や賃貸に必要な手続きや、家族が関われる範囲も変わります。
将来の介護費用や住み替えに備え、早めに情報を集めておくことが安心につながります。
当社では、高齢者の不動産と成年後見制度に関するご不安やご相談を丁寧にお伺いし、お客様の状況に合わせた活用方法をわかりやすくご説明いたします。
「まだ元気だから」と先送りせず、まずはお気軽にお問い合わせください。


